オンデザイン的設計の進め方3、住宅/確認申請〜着工〜竣工編
突然はじまった割には内容が濃いめの「オンデザイン的設計の進め方」シリーズ
ですが、全3回のうち、今回はいよいよ最終回、
住宅/確認申請〜着工〜竣工編です。
前回20.まででしたので、今回はその続き21.からです。
21.
確認申請は、その建物が社会と繋がっているんだなと実感する工程です。
確認申請用の図面、申請書(自治体によっては、事前協議の書類も加えて)
提出し、役所、または民間の第三者機関によって、建物が建築基準法に適合
しているかのチェックを受けます。
確認申請書の提出時期は、規模や構造によって、審査期間が違いますので、
様子を見ながら、工事金額がまとまってから申請する場合や、
審査期間に時間がかかりそうな規模の場合、工事金額がまとまりそうな
ところで、見切り発車的に申請することもあります。(途中で変更が
利かないことが多いので、なるべく工事図面と齟齬が無いように注意を
払って申請します)
申請提出後、審査機関より修正箇所や、説明必要箇所の指摘を受けた場合は、
それを修正・説明し、審査機関の決済がおりると、確認済証を受け、はれて
着工することができます。
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22.
いよいよ着工!と思いきや、ここで、瑕疵担保保険という新しい制度の
申請があります。
(昨今の建築法令の改訂を受け、工事完成後10年間、工事による建物
の重大な瑕疵(欠陥)を、施工業者だけでなく、国の認定を受けた保険
機構が保証(担保)してくれる制度です。)
この決済がおりて、いよいよ着工です。
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23.
木造住宅で、工期はおよそ4〜6ヶ月、鉄骨/鉄筋コンクリート造で
5〜7ヶ月です。地盤の改良などの工事があると、余分に半月程度
見込みます。また完成後に、検査やそれにともなう補修工事/追加工事
がでてくるので、加えて半月程度を見込みます。
現場の工程や監理の方法は、構造によってかなり異なるので、
どんな構造も通るメイン工程だけ抜き出して流れをご紹介します。
まずは、地鎮祭。
主には神主さんを御呼びして、工事に先立ち土地の神様に家を建てること
を報告し、工事の安全を祈願する儀式です。お施主様やその縁者の方、
工事関係者が出席します。
(詳細は「丘のいえ」の現場レポートを参照ください。
→http://d.hatena.ne.jp/ondesign_blog01/searchdiary?word=%2A%5B%B5%D6%A4%CE%A4%A4%A4%A8%5D)
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24.
現場打ち合わせ、および上棟式。
現場が始まると、図面で描き込んでいても、現場で確認し検討しなければ
ならないポイントがどうしてもでてくるので、施工業者さんと設計者である
オンデザインは、ほぼ毎週打ち合わせが持たれます。(毎回現場に行くと
各工程の職人さんたちに捕まり、大量の質疑に回答する日々が始まります。)
またお施主さんとも毎月定例会のように日取りを決め、(設計者、施工者
同席のもと)現場打ち合わせに立ち会って頂き、リアルな現場状況を確認
頂きつつ、材質、色、位置、大きさ、設備ルート、各部詳細などを
打ち合わせます。
またヤマ場である上棟には、お施主さんのご都合があえば同席頂き、
構造が空に向かって組み上がっていく有様をご覧頂きます。
(この日は壮大なスペクタクルです!!)
その後、大工さんをねぎらうため、上棟式を行なう現場もあります。
現場打ち合わせでは、毎回進行状況を確認し、同席頂いたお施主さんには、
その月に行なわれた工事工程を報告し、翌月に行なわれる工事の動きもお伝えします。
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25.
施主検査+事務所検査。
毎月の定例会で現場確認し、その歩みをグングン進めていくと、工事が終盤に
差し掛かります。
終盤の仕上げ工事と設備機器の取り付けが終了したところで、お施主様に
現場を検査確認頂きます。(事前にハウスクリーニングをかけ、設計者サイドでも
工事中に付着した汚れや傷なども含め、ひとつひとつ丹念にチェックします。)
残りの工事や追加工事、補修工事などをお施主さんと共に一通り確認し、
引き渡しまでのスケジュールを施工業者と詰めます。
それらが積み重なった結果、晴れて建物は完成を迎えます。
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26.
完了検査。
役所による法律的現場チェックです。規模や構造、用途により中間時にも同様の
中間検査を受ける必要があることもあります。
25と工程が前後することもあります。
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27.
竣工!!(内覧会)
補修工事、追加工事など残工事が終了すると、めでたく竣工です!!
引っ越しで荷物を多く運び込む前の状態で、お施主様の理解が得られれば
内覧会というお披露目会を行ないます。(来客のほとんどが建築系の
同業者や学生、メデイアです。)オンデザインスタッフも複数人
参加し、きれいな新築の家に傷や汚れが付着しないよう現場に目を光らせます。
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28.
竣工写真撮影
プロの写真家の方に、完成時の建物写真を撮影頂きます。
朝早くから夕景まで撮影に帯同していると、苦労した現場の日々が、この建物に
凝縮したんだということを噛み締められます。建物をゆっくり一日かけて眺める
良い機会でもあります。
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29.
お引き渡し、取扱い説明
お施主様に現場監理報告をし、建物をお引き渡しする日です。
設計側では、手塩にかけ育てた娘を嫁にだす父の気分と、よく言われます。
ここまで協力して現場を進めてきた工事業者さん等も誇らしげです。
お施主様には、設備機器の取り扱い説明や、経年変化が起こる素材の留意事項や
メンテ方法などのご説明も同時に行ないます。
お施主様に鍵が渡され、工事は終わり、新しい建物の時間がスタートします。
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30
お引渡から3ヶ月〜半年後に、オンデザインでは竣工後アンケートをお願いしてます。
これは、設計期間〜工事期間〜住み始めてみてを振り返って頂き、設計者、施工者との
やり取りの良いところ、悪いところをなるべく具体的にヒアリングさせて頂く
アンケートです。
お引渡から1年後には、1年点検という、工事点検があります。
竣工後も、お施主さんとオンデザイン、お施主さんと工務店さんのお付き合いは
(当然、工務店さんとオンデザインのお付き合いも)続いて行きます。
全3回に渡ってお届けした「オンデザイン的設計の進め方」は以上です。
オンデザインの設計の肝は、これらコミュニケーションから派生する
新しい価値との出会いとその具現化です。このブログも、
それらの顛末を、設計時も竣工後も継続的に紹介していくことで、
建物と人との関わりを見える化するという実験場となっています。
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