オンデザインの暮らし

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遠山保育所プロポーザルコンペ 2次審査レポート

こんにちは。


11月18日の「遠山保育所プロポーザルコンペ」の続編です!


先月11月5日に宮城県七ヶ浜町で行われた
「遠山保育所改築基本設計及び実施設計業務簡易公募型プロポーザル」の
2次審査の公開プレゼンテーションの様子をレポートしたいと思います。


左:中津秀之さん(関東学院大学/子供環境) 中:萬玉直子 右:西田司 




審査会場は七ヶ浜町生涯学習センター(中央公民館)大会議室で開催されました。

会場には建築関係者だけでなく
地域住民の方々も多く見られ、
公開プレゼンテーションは穏やかな空気感のなか始まりました。





今回、コンペ応募総数103作品の中から

1)SUPPOSE DESIGN OFFICE 谷尻誠さん
2)飯田喜彦建築工房 飯田喜彦さん
3)風越工業株式会社一級建築士事務所 高橋一平さん
4)保坂猛建築都市設計事務所 保坂猛さん
5)ノルムナルオフィス 八重樫直人さん
6)オンデザインパートナーズ 西田司


6社の作品が2次審査対象として選定されました。
2次審査では登録番号順にプレゼンテーション15分、質疑応答10分を行い、
総合的な審査により最終的に一社が設計者として選定されます。




審査員は
建築家の乾久美子さん、福屋粧子さん、渋谷セツコさん、
建築計画学者の厳爽さん、七が浜町地域福祉課長の寺澤薫さん、七ヶ浜町保育士1名


の6名に加え、七ヶ浜町震災復興アドバイザーとして
小野田泰明さん(東北大学院工研究科教授)が司会進行役を務めます。





プレゼンテーションを行った5社の提案内容は


土を盛り公園をつくり、半地下部分に保育室をつくる提案
敷地全体を建物で囲い大きな中庭と伸びやかな保育空間をつくる提案
入れ子形式/雁行形式で建物全体に回遊性をつくる提案
大きな屋根を敷地全体にかけ、屋根の下で保育所や共有空間をつくる提案


5000平方メートルの敷地全体を広く使いながら
保育空間を一体的な空間として「豊かさ」を生み出す提案が
それぞれの建築形式に合わせて提案されました。




それらの提案に対して質疑応答では


・中庭や入れ子形式では動線が長くなり管理が大変
・遊戯室の面積が小さくお遊戯会ができるか心配
・小さな庭よりまとまった大きな庭が必要
・落ち葉のメンテナンスが大変
・防災拠点としてどのように機能するのか
・・・etc


建築家の方々から保育士さんまで様々な視点からの質問が飛び交い、
実現性と提案性の双方が求められていました。




そして最後の発表になるオンデザイン







もともとの敷地の特徴を引き出し、
東西南北で性格の異なる4つの敷地の余剰を子どもの遊び環境「広場」として
最小限の建築操作で、土地を最大限使い倒す
「七ヶ浜ベースキャンプ」を提案しました。


ソフト面においては

ワークショップの取り組みや
七ヶ浜ベースキャンプマップという利用者がつくるマップづくりなどにより

保育形態や地域住民に対して長期的な関わり方も具体的に提案しました。







質疑応答では


街に対して開かれたベースキャンプのあり方(普段使いのパブリック)に
共感する意見があった一方で


・運動会を行うには広場が狭い。
・給食の配膳において外部を通らなければならない。
・管理の難しさ


などの運営管理に関して建築家からだけでなく
保育士さんからも多くの質疑がでました。




保育士さんから積極的に多くの具体的な質問が出たことは、
オンデザインの提案がより具体的でイメージしやすいものであり、
提案の実現に向けた西田の熱意が伝わったからだと思いました。




同日行われた審査の結果、
設計者には高橋一平さんが選定されましたが、


オンデザインの普段の設計業務で培われている
「観察」「対話」「共有」という考え方を通して
「まちに開く」という新しい公共性のあり方を具体的に提案する良い機会となりました。


海野