オンデザインの暮らし

オンデザインの日々や、暮らしの中での発見 を紹介しています

花火

先日通りがかりに、幅員の広い橋の上で、わりと多くの人が立ち止まって
一方の空を見ているのを見かけました。




なんだろうと思ってそちらを見ると、花火の打ち上げがちょうど始まるところでした。
打ち上げが始まると、だんだんと留まる人が増えてきて、
気づけば距離の短いその橋の上に たくさん人が集まっていました。

最近の花火事情からか20分程度でフィナーレを迎え
たいていの花火大会の終わりがそうであるように、最後はこれでもかというくらい
たくさんの花火が一気に打ち上がり
みんなそれで最後なんだとわかって
花火が消えると 自然と拍手が起こりました。

そこは短い橋の上。終わりと同時にみなそれぞれ目的の方向へ歩き出し、
スクラムは一瞬でほどけていつもの往来の光景に戻りました。


むかし、実家が大規模な集合住宅にあったころ、
花火を見て同じような感覚になったことがありました。

花火のあがる方向はベランダとは逆側だったので、
家族みんなで 集合住宅特有の各住戸をつなぐ長い廊下に出て 見ました。
私たちだけでなく、その集合住宅に住んでいるいろんな家族が
そうやって廊下や階段の踊り場に出て 見ていました。
それで、普段知らないおとなりさんとちょっとだけお話したり。
確かそのときも、自然とみんなで最後に拍手をしたように記憶しています。

まるで廊下や階段が劇場の客席のようで
いろんな家族がそこに住んでいることが、より際立って感じられ
そしてその一瞬の間だけ、普段はあまり関わりのない住人同士が
同じものを共有していることや
拍手をしたくなる感覚をみんなが持っていることをなんだかうれしく思いました。



くらしといえば日常的なことが思い浮かびやすいけれど
その中に非日常的なことがどのように挿入されて
日常の価値観の中に落ちていくのかも とても大事なのではないか。
みんなで同じものを感じることができる機会はそうそうおこらないけれど
そんな非日常が一年に1回でも2回でも「ある」ということが
日常を少し豊かにしたり、愛着につながったりしていくのかなと感じた出来事でした。

西大條 晶子