オンデザインの暮らし

オンデザインの日々や、暮らしの中での発見 を紹介しています

「俺の小屋」

こんにちは、森です。
今日は「俺の小屋」
というプロジェクトについて綴りたいと思います。



このプロジェクトは、
数年前に竣工した住宅「海と山と家」に暮らすお施主さんからの依頼で、
庭の一部に、ご主人が趣味を堪能するための小屋 「俺の小屋」 を計画しました。










眼下いっぱいに海が広がります。
サーフィンが好きなご主人は、いつも庭のデッキから波の様子を確認されているそうです。






これだけ豊かな環境に囲われていると、
庭でアウトドアパーティーをしたり、サーフィン帰りに外でシャワーを浴びたり、ガーデニングを楽しんだり、子どもと庭で遊んだり、崖に登ったり、、


こんな過ごし方も出来そうだと日々発見しながら、

環境との体験的対話(※)を重ねて暮らしているようです。











小屋というだけに、建坪はわずか9平米とコンパクトですが、

「趣味のモノで溢れる 大きな棚」

「長い煙突の下の こじんまりとした落ち着ける居場所」

「よじ登った先に見える大きな崖」

といったように、


打合せ時に
小屋に飾る趣味のモノや、お気に入りの過ごし方を細かにヒアリングし、

それらが持つ様々なスケールを
体験的に織り交ぜて設計しています。






こちらは現場の様子。

上棟してみんなでサイズ感を確認しています。
1階のコンクリートのボリュームは、冬の寒い時期にもサーフィンをされるご主人のシャワールームです。
基礎と一体でコンクリートを打っています。



こちらは、俺の小屋を建てていただいた現場監督の久保田さん。
足場をよじ登り、

「ここは一番眺めが良いからよ〜!」

と言いながら、遠くの海を見つめて2階のカウンターの高さを確認中です。


この小屋、関係頂く施工者さんも(そして私自身も)
建ち上がっていく過程をたのしんでくださいます。

まるで子どもの頃に眺めの良い場所に秘密基地をつくったような気持ちです。












大工工事がほぼほぼ終わり、
鉄骨屋さんと階段や手すりの打合せをしている様子です。

ご主人の趣味の持ち物がメタリックなモノが多かったので、
モノが並んだ時に小屋を構成している部位にも愛着を持ってもらえたらと思い、
ところどころにスチールの素材感を取り入れています。


2階の床面はスノコ状になっており、
1階の棚にセッティングしたレコードから流れる音楽が2階にもよく聞こえてきます。














そして、現場も終盤へ差しかかろうとしていたある日。


いつものように小屋の中へ入ると、、、











なんとまだ現場中というものの
すでにご主人の趣味のモノが並びはじめていました..!



たくさんのレコードやサーフボード、バイクやアウトドアの遊び道具などなど…
思わず声を出してしまうほど、「俺の小屋」の世界感満載です。








(ちなみに現在は、外構まわりも暮らしに合わせてアップデートしながら、小屋の前に新たにスケボパークの製作とバスケゴールの設置を計画中です….!)









プレゼンしてから、かれこれ3年という月日が経ちますが、

お施主さんの暮らしに対する対話とエネルギーが、この場所を育てていることを実感します。

ここではそれを、 “体験的対話” と呼んでいます。




一般的に建築の設計とは、“箱を設計して終わり“だと思われがちです。

でも、そのような一方向的で閉鎖的な関係性ではなく、

住まい手の生き方の変化に応じた、暮らし方や使い方のアップデートを受け止める土壌を用意することで、
建築も、より生き生きと育っていくのだと実感したプロジェクトでした。



このように竣工後も地続きに関わらせて頂くことで、
わたしたちにとっては、
設計をする際の学びにも繋がります。






今後もこのプロジェクトからの学びは続きそうです。。!