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実践レポート・オンライン結婚式

こんにちは、オンデザインで都市を科学している谷です。

私事、かつ、少し前の話で恐縮なんですが、5月にオンラインで結婚式と披露宴を開きました。

コロナ禍中の思いつきから5日間の準備で、やってみたらオンラインならではの良さがあり、気楽ながらも楽しく温かい時間になりました。

良かったことは端的に、精神・時間・金銭の負担が大幅減だったことと、日常の延長でリラックスしたまま特別な時間を多くのひとと共有できたこと。

結婚式に限らないさまざまな「オンライン活用」に通ずる部分もありそうなので、整理・考察しながら振り返ってみます。

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オンライン結婚式の概要

  • 日時:5月のとある日曜日の午後
  • 
場所:Zoomにて(自分たちも自宅からつなぐ)
  • 参加:約120アカウントで、たぶん180人くらい
  • 方式:好きな食べ物、飲み物を用意して、各自Zoomをつなぐ。入退場自由の参加無料
  • 運営:友人2名にZoomのオペレーションと、牧師役、困った時の司会進行補助を依頼

内容は、友人に牧師になってもらっての挙式、新郎新婦のプロフィールや馴れ初めムービー紹介。友人にコメントをもらい、親への手紙とか、余興的な動画も流して、最後はギターの弾き語り。全体で約2時間です。

笑いあり、涙ありで、楽しんでもらえた実感があり、終了後に多くのゲストから「おめでとう。それはそれとして、オンラインって意外と面白くて良いね」的な感想をたくさんもらいました。  

オンラインだから良かったこと

では、具体的にどんなところが良かったのかを、実感やゲストのコメントから整理します。

1,人の距離感が意外と近い?

多くのゲストから、「みんなの距離が、むしろ近く感じた」「顔がよく見えた」という感想をもらいました。

テレビ会議システムは、新郎新婦を画面に大写しにすることも、ギャラリービューでゲストの顔を一斉に見ることもできます。100人以上を招待した大規模会場での物理的距離や、ゲストが他のゲストの顔を見づらいことを踏まえると、オンラインだと逆に「近く感じる」要素もあるのかもしれません。

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Zoomをテレビで映して。挙式会場より、ある意味で近く感じる?

2,出席者の近況(家族とか)が画面越しに見える

個人的に、一番嬉しかったのがこれです。多くのゲストが自宅でくつろぎながら、家族と一緒につないでくれたりしていました。

数年ぶりに見る友達が赤ちゃん抱えて幸せそうにしていたり、うしろでお子さんがはしゃいでいたり、もちろん一人で出ている人にも日常があって。自分たちが晩婚気味だったという事情も手伝って、画面越しに垣間見える「久々の近況報告」的な光景の一つ一つが感慨を深めてくれました。

一緒に見てくれたお子さんからの「おめでとう」が嬉しかったり、後ろでこっそり見ていた幼なじみの親御さんから実家の両親に「見たよ、おめでとう」なんていうメールが来た、なんていうことも。

オンデザイン社長の西田司が言う「オンラインは、人と人ではなく空間と空間が出会う」を、まさに実感するような時間になりました。

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画面越しに見えるみんなの日常や近況が、感慨を深めてくれました

3,ゲストの気楽さ

親子参加のゲストは、子どもが騒いだらミュートできる(してもらえる)というだけで、とても気が楽になります。食物アレルギーや禁忌の心配もありません。どこからでも参加できるし、前後の時間も自由に使えます。どうしても忙しければ、家事しながら聞くだけでも良い。多忙なスケジュールをやりくりして、仕事の合間の30分で覗いてくてれたゲストもいました。

こんなふうに、状況に合わせた柔軟な参加ができるのは、オンラインの大きなメリット。開催3日前の告知にも関わらず参加率が90%を超えた理由は、外出自粛でどこへも行けないという事情だけではない気がします。

主催者としても、ゲストの負担(金銭、時間、精神)を軽減できるのはとても大きくて。子育て中、遠方、多忙、なゲストが多い中、「自由に気楽に、よかったら家族も一緒に楽しんでね」というスタンスを取れたので、招待の精神的ハードルが一気に下がりました。

オンラインはいろいろな意味で、柔軟な対応を可能にします。ミュートや画面のオンオフがゲスト本人も運営側もできる。会場のキャパシティは実質無限で可変。参加人数が増えても、オペレーションが少し難しくなる程度です。新郎と新婦で友人の数が違ってもあまり気にならず、席次やゲスト同士の関係性に気遣いする必要もない。事前の出欠確認もしなかったので、ドタキャンという概念すらありませんでした。

4,チャットによる双方向性

プロフィール紹介とか、いわゆる誓いのキスとか、いろんな場面で、ゲストがチャットを使って茶々入れしてくれました。ちょっとした参加感も得られるようで、楽しんでもらえてよかったです。

「音声とテキストによる双方向性」は、オンラインの強みのひとつ。プロフィールや馴れ初めはムービーだけでなく、公開QA方式(チャットでの質問に新郎新婦が答える)とか、一斉に近況報告や祝福メッセージを送る時間をつくるとか、まだまだ工夫の余地がありそう。オンラインツールのさらなる発展にも期待したいところです。

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結婚誓約のシーン。チャットの「むりやろ!」「あの下宿部屋見てたら無理!」は、宣誓文の「新郎は、床に服を脱ぎ捨てないことを誓います」に対するツッコミです

5,圧倒的な低コスト

主催者側の経費は、Zoomの有料アカウントと大規模会議室機能、通販で買った格安ドレスとティアラと蝶ネクタイ、自分たちの酒とつまみで、2万円程度。運営を手伝ってくれた友人へのお礼を含めても、約5万円でした。

そして、準備期間は5日間です。

コストだけがオンライン挙式の魅力とは思いません。ただ、コストが抑えられれば、ゲストの精神的負担は軽くなるし、主催者としても「迷うくらいならやってみるか。失うものはないし」と思い切ることができます。「安く済むから良い」というより、「中止や失敗でも損失が小さい」というのが、大きかったです。

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自宅の一室からの配信でした

逆に、実際の会場を確保しての100人規模のイベント開催は、キャンセル時の負担等を考えると、個人が簡単に負うべきリスクを超えているような気がしたのも、正直なところです。

6,手作りしやすいし、手作り感を出しやすい

必要な準備のほとんどはコンテンツ。コンテンツができれば、ほとんど内製できたことになります。

結果として、「自分たちが今、どんな人達に囲まれていて、どんなことができるのか」を、見てもらう良い機会になったようで。「これだけの時間をつくってくれる友達、一緒に過ごしてくれる友達を、これからも大事にしなさい」。両家の親が挨拶代わりの言葉が、それを象徴していました。

実際の式場を借りて、同じように手づくりコンテンツを実施した場合に比べ、「会場の印象」がない分、「手作り感」をより強く感じてもらいやすいのかもしれません(自ら料理を振る舞いたい場合んなんかは、考え方が変わるかもしれませんが)。

7,体力的負担の少なさ

新婦が妊娠中だった(準備5日で強行したのも、出産準備のスケジュールがあったためです)ので、このメリットも大きかったです。

実際の式場でもマタニティウェディングはありますが、自宅配信はやっぱり楽だし安心です。応用的に考えれば、病院からの配信とか、海外赴任中で帰りにくい時にむしろ現地の生活を披露しながら挙式するとかも、可能になりますね。

8,記録と追体験の容易さ

結婚式に限らず、オンラインイベントは基本的に、デジタル上ですべてが起こっています。記録が容易で、出られなかった人にあとから録画を見てもらえば、参加者と同じような空気感を感じてもらうこともできます。

Zoomならレコーディング機能を使えば良いし、画面収録という手もあります。Zoomのクラウド記録は、「スピーカービュー」と「共有画面」と「ギャラリービュー」をそれぞれ別々で記録するように事前設定できます。平たく言えば、画面で新郎新婦が大写しになっている時間帯の、見ているゲストたちの顔も別々に記録することができます。

 

オンラインの良かったことまとめ

ここまで挙げてきた要素をまとめてみます。

オンラインならではのコスト(金銭、時間、労力、リスク)の低さと柔軟性が、ゲストの負担を軽減し、主催者のプレッシャーを和らげる。加えて参加形態の自由度が高く、距離感も意外と近い。結果としてみんなの日常が見えてきて、気楽ながらも温かな時間につながったのかな、と思います。

これらの特性は、結婚式以外の、たとえば同窓会などのイベントに通ずる部分もあるでしょう。

生き方が多様化しつつ、多忙な人が増えている現代社会において、一定の価値があるのではないかと思います。

裏表にあるデメリット

ただし、これらのオンラインの特性は、デメリットにもなり得ます。

まず、オンラインの「気楽さ」「柔軟性」は基本的に、「荘厳」「格式」「神聖」「特別感」の対極です。演出を工夫しても、ゲストがリビングから普段着でつないでいれば限界があります。「日常から切り離して、緊張感を共有しながら、人生の節目の時間を過ごす」「特別な時しかできない体験に、みんなをご招待」を求めるなら、リアルな式場やチャペル、神社がベターでしょう。

ドレスアップの楽しみも小さくなります。新婦の「お姫様」願望も、ゲストがおしゃれする楽しさも、諦めポイント。カメラ好きのゲストにとっては、撮影の楽しみも少なくなります。

音や光の演出も制限されます。完全同期が前提となるバンド演奏や、胴上げのような身体性を伴ったアクション、アイテムなどの活用は難しい。ハグや握手もできません。バージンロードも、ごめんなさい。

また、実際の式場では、コンテンツを見ながら同じテーブルの人と雑談したりが簡単にできるのですが、オンライン上に大人数が一堂に会すると、コンテンツの全体共有とグループ雑談の両立はには工夫が必要になります。オンラインツールの発展にも期待したいところです。

祝儀や引き出物のやり取りも、工夫が必要。料理のおもてなしも、事前発送等が必要になります。

さらに加えるなら、現実の移動に伴うリスク(鉄道遅延や台風、事故など)に対して、オンラインでは通信不良や操作の不慣れなリスクが生じます。

 

まとめ

私自身がオンライン結婚式に踏み切れたのは、コロナ禍をアップデートの機会と捉えて前向きに試行錯誤するオンデザインで仕事をしていたから、というのもあったと思います。

そして、「思っていた以上に面白かったし、可能性を感じた」というのが実感です。

所帯持ち・遠方・多忙な友人が多く、特別感や神聖さよりも等身大が好きで、あまりお金はかけたくないけど、結婚できたことはちゃんと報告したい–。 そんな自分たちだったから、ちょうど良かったのかもしれません。

オンラインのツールや、社会の情報リテラシーは日進月歩です。

VRやARが身近になれば、「リアルかオンラインの二者択一」ではなく、「良いとこ取り」もできるでしょう。

コロナ禍が収まり、実際の会場を使える状況になっても、オンラインイベントは積極的な選択肢のひとつになって良いのではないかと思います。

今後のさまざまなオンライン活用のヒントになれば嬉しいですし、オンデザインでもオンラインの活かし方を探求していきます。

(了)

オンライン化した空間の特性と活かし方は、こちらの記事でも考察しています。

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