オンデザインの暮らし

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黄金町APPオンデザインプレゼン本「壁沿い」

今日はプレゼン本の一部を公開します

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3月21日


今日は久々に友人に会いにいった。


年度末で本来は忙しいものだが、

むしろ不景気で企業も仕事がないせいか、

有給休暇を3月中に消化する友人が多く、

こんな平日の昼間に友人3人で彼女のもとを訪ねることになった。





ー中略ー


京急線の高架沿いにずっと歩いていると

昼前にも関わらず収集されていないゴミが置き場で散乱していた。


僕たちは踏まないように除けながら、

わざとゴミを見ないようにして前の方を探していた。


右脇には同じ入り口がいくつも並んだ不思議な外観の建物が目についた。

はじめは見慣れないものであったが、

ほぼ裸なのではないかと疑うような

肌色の肌着を着たおばあちゃんが出て来て、

それが家だったとやっと確信を持てた。


かと思えば、ガラス張りの部屋の中では、

若者が銅板を溶接しているのが見えたりした。


そんな窓越しに人生模様が見えてしまうようなエリアを、

見て見ぬ振りをして通り抜けると、

彼女が言っていた目印のトタン壁の家を発見した。

というよりはトタン壁の家が多すぎるため、

これが目印だという確信は持てなかったが、

彼女が言っていた駅からの所要時間がそれくらいだった。


その家の角を右に曲がると、1メートル幅くらいの路地に

同じような雰囲気の正面をもつ家が両脇に6軒ほど立ち並んでいた。


家と家の単なる隙間かと誰もが思ったが、

道の途中に背の高い街灯が一本だけ立っており、

道だとギリギリ認識ができた。


入り口はどれも非常に古く鍵がいらないのではないかと思うほど

簡素なものに見えたが、

YKKという昔のロゴのシールがまだ貼られたものもあった。


その並びの一番奥にグレーの扉。彼女の花屋だった。




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やないりえ