遠山保育所プロポーザル「しちがはまベースキャンプ」
みなさま、こんにちは。
久しぶりのコンペ応募案のご紹介です。
「遠山保育所改築基本設計及び実施設計業務簡易公募型プロポーザル」
多大な被害をもたらした今年3月の震災から半年が経ち、
未だ瓦礫の撤去作業が続く中で、どこよりも早くに宮城県七ヶ浜町で行われた建築のコンペです。
震災で利用禁止となった遠山保育所を新たに受入れ定員を増やし、規模を少し大きくしての改築計画です。
復興のまっただ中において建築をつくるということが、
どれほど人や町に貢献できる可能性があるのかが大きなテーマとなりました。
インフラからではなく、ひとからつくる復興とはどのようなものか。
オンデザインの提案は、
人と人のつながりを育む手段としての建築=活動拠点「しちがはまベースキャンプ」です。
全体計画。
周辺との高低差や樹木によって、東西南北で表情の違う5000平米の敷地です。
保育所機能を6つの木造の「部屋」で用意し、それらを2本の「回廊」がつなぎます。
東西南北4つの敷地の余剰を子供の遊び場環境「広場」とし、
/芝生広場 /土広場 /森林広場 /園庭広場 の異なる4種の広場で
元々の敷地の特徴を引き出します。
最小限の建築で、土地を最大限使い倒す提案です。
芝生広場。
まちからのエントランスにふさわしくオープンな建ち方です。
右手が遊戯室で、左手が事務室と保育所メイン玄関です。
土広場と食育カフェ。
調理室を食育カフェとして地域の交流拠点として提案しました。
土広場で育てた野菜をこどもが料理して食べる想定です。
森林広場。
既存の斜面を樹木を活用して、四季を体験し、自然を学ぶ広場です。
向こうには遊戯室が見えます。
園庭広場。
「部屋」と「回廊」に囲まれ、年齢も小さく身体が未発達の
乳幼児も安心して遊べる園庭です。「回廊」が縁側のようになります。
「回廊」利用した遊戯室。
保育室の「部屋」の延長として使う開放的で明るい空間です。
静かな環境で籠りたい子は「部屋」で、わいわい活動したい子は「回廊」で、という居場所の選択肢も多くしています。
保育所のメイン玄関。
細高い「回廊」がのび見通しの良い芝生広場脇の軽やかな玄関です。
私たちの提案は、人の活動があって活き活きとする建築です。
回廊の交わるところは、そんな活動が一望できるところです。
保育所を子供を預ける場所にとどめず、広場や回廊などを地域とシェアしていく
ことで、子供の子育て環境を、地域を巻き込み、一緒に考えながらつくっていく
提案にしています。設計段階から保育士さんや地域の子育てコミュニティと対話
していくことで、完成後も使われながら育っていく姿を描きました。
身近にあって普段使いだからこそ人が関わり易いパブリックの提案です。
オンデザインでは昨年より精力的にコンペに取り組んでおり、
今回は公開審査に残ったものの、残念ながら落選してしまいました。
それでもオンデザインの力を集結した提案になり、良い経験になったと思っております。
これにめげずにチャレンジし続けると、西田は張り切っております。
2次審査の公開プレゼンテーションのレポートは後日お楽しみに!
まんぎょく